ビダダリ・アート・ギャラリー
ディレクターよりご挨拶 |
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このギャラリーは、私の彫刻芸術にたいする愛情から出発しました。また、それと時代の流れの中で優秀な彫刻家の宝庫であるマス村が消失してしまうのではないかということへの懸念もあり、その記録の意味もあります。木に対する私の思い入れは深く、そのためにできることをしていこうと決心しました。 |
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ビダダリ・アート・ギャラリー ディレクター |
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『マス村の歴史的芸術的背景』について |
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デンパサール市の東方約25キロメートルに位置するギアニャ−ル県マス村は、真に、バリヒンヅーの歴史を再び呼び起こす地であります。また、それは古より、言うなれば、『私たちが存在する以前から、既に定められていた』という信念を堅持する地であります。 はるか昔、16世紀頃、ダン・ヒャン・ニラルタという僧侶が、現在のマス村にあたる場所で、彼の杖、すなわち一本の木棒を村の一画に突き刺しました。すると、不思議なことに、その杖は育ち、生きた一本の木になり、そればかりか金の花をつけたのです。 僧侶は、「マス村の人々は今後、木から生活の糧を得る」という言葉を残しました。 マス村の人々が木を選ぶよう導き、確信させる重要な歴史的な起点です。 また。この言葉は、バリヒンヅ−の、現在でも生きている創作の哲学としても、彫刻に限らず、生活、アート全般に渡って重要な意味を持っております。 そしてこの彫刻芸術誕生の根源は、バリにおける彫刻芸術の発展に多大な影響を及ぼしました。それ以来何世紀もの間、バリの芸術は宗教的目的のために創造されてきました。そしてついに1930年、マス村は、バリの芸術家たちの視界を拡げようとするピタ・マハの活動の場となったのです。 また、ピタ・マハ活動の後、彫像芸術家たちが輩出しました。偉大な彫像家としてイダ・バグス・ニャナが登場し、その斬新で、想像力豊かで、機知に富んだ作品は、すばらしいものがあります。時代はめぐり、イダ・バス・ニャナの息子であるイダ・バグス・ティルムもまた、その芸術の質、才能の高さを示し、マス村における伝統の継承者として、また若い世代の有望な才能を発掘し、育てるための師として活躍しました。 勤勉で、俊才で、アイディアに富んだ師であったティルムは、木をして、存在の形の彫刻芸術メディアにならしめたことにより、やがて彼の名は広く知れ渡りました。何十年にも及ぶ真摯な努力により、ティラムは、自分自身を、マス村の才能にあふれた若者たちがその才能を磨く場所を提供し、そこから多くの若者達が自身の秘められた能力を見出してきたのです。 このギャラリーは、イダ・バグス・ティルムに指導された教え子たちで、現在はそれぞれの個性をもって成長した彫刻家の作品を展示しています。彼らの作品の中に、そのティルムの父であるイダ・バグス・ニャナの機知に富んだの影響も見受けられることでしょう。彼らは、それぞれの能力を開花させ、既に今世代における、彼らの作品の頂点に到達しています。 |